お母さんTopへ

夕焼け

幼稚園児の頃だったろうか
どこへ行った帰りか
家に帰ると
玄関が閉まっていて
誰もいなくって
ぼくは当たり前のように
お母さんが待っていると思っていたのに
いないから
寂しくって寂しくって
おかあさん、おかあさん、
と家の前で何度も泣き叫んで
それでもおかあさんはいなくって
夕方の
絵に描いたような赤い夕焼けで
寂しくって寂しくって
ただ立ちすくんで泣いて
おかあさん
おかあさん、って泣いて
どのくらいたったのか
おかあさんが帰ってきて
どういって慰めてくれたのか
覚えていないけれど
お母さんがいて
それでよかった。

こうして僕が引きずっているのは
何かをちゃんと完了するため
だと思う、たぶん